チュチェ111(2022)年 6月 4日 ウェブ・ウリトンポ


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抗議文

朝鮮敵視の従米デマ、誹謗中傷は許されない

2022年5月17日付朝日新聞「天声人語」について

李東埼

東京都中央区築地5-3-2 朝日新聞社編集局長殿
   ならびに 2022年5月17日付「天声人語」執筆者殿

 

2022年5月17日付け朝日新聞「天声人語」を読んで吐き気を催した。昔、ヒトラーの「わが闘争」を読んでいて、ユダヤ人の悪口をつらねたくだりに出逢い、思わず口をハンカチで押えた経験を思い出す。

 

他国の不幸をあざ笑う

 

コロナの脅威が全世界を覆っている。日本人も苦労している。ついに北朝鮮にもコロナ菌が侵入したか、できるだけの支援はするから互いに頑張ろう、というのが隣国のよしみではないか。同病相憐れむどころか「ワクチンも治療薬の備えもない国で・・・北朝鮮の人々はいま 柳の葉を煎じ、塩水でうがいをしているのか」という。 「備えもない」と勝手に断定した後で他人の不幸をあざ笑い、からかっている。こんなに下劣な文章を、よくも活字にできたものだ。

 

調べもせず平気で嘘をつく

 

この「天声人語」の下劣さのもう一つは、平気で嘘をついていることだ。メディアは公器だからよほど慎重、謙虚でなくてはならない。

「『感染ゼロ』を標榜してきた北朝鮮から一転、感染拡大のニュース」「『清浄』『清浄』と言い続けた果てのこの現実」と、まるで朝鮮がコロナ感染を隠してきたかのような書きぶりである。調べもせずに事実に反することを書いてはいけない。そういうのをデマというのだ。 米国の北朝鮮ウォッチ専門サイト「38ノース」2020年 4月23日付けは3人の専門家による共同論文『北朝鮮 のCOVID-19ゼロ主張は何を意味しているか』を掲載した。論文は北朝鮮が、中国が(2020年の)1月23日に 武漢を封鎖する3日前に国境封鎖を断行したと述べ、こ れは世界で最も早い国境封鎖措置だったと指摘した。そ して「多くの国が北朝鮮のように早期に旅行禁止措置と 積極的な検疫措置をとればよかったのにと思っているに違いない」「医療分野で活動する人道主義組織が指摘するように、北朝鮮人は非常に効率的に公衆衛生介入を実施している」と書いている。

事実、2021年1月に開かれた数千人規模の党大会で も、密集密接の参加者がマスクなしで座っている姿が TV放映されていたし、これまた全国から参集する最高人民会議(国会)の映像も同様。今年に入ってからの各種大衆集会も同様であった。ただ、全体集会の後に部門別に分かれて討論する協議会ではマスクを着用してい た。

朝鮮メディアの電子版や、在日朝鮮人の日刊紙・朝鮮新報などを読むと日常生活ではマスク着用はもちろん、 全社会的に消毒、検疫、地域担当医師らによる日常的な 巡回健診、検温、発熱者の即時隔離治療が徹底的に行われてきた。メディアは連日世界のコロナ情報をつたえる とともに、予防知識を繰り返し浸透させている。

前述の論文は「新型コロナウィルスは最終的には北朝鮮にも侵入するであろう」「彼らは北朝鮮内での患者発生に備えて治療能力構築に投資している。診療と治療に必要な外部の支援も到着し始めている」と書いている。 朝鮮はコロナ菌侵入に前もって備えてきた。この「天声人語」は「ワクチン提供の申し出も退けてきた」と書いているが、外部の支援をむやみに断っているのではない。 自力でできることは自力でやろうとしているだけだ。必要なばあい、すでに支援も受けている。今後も必要なら善意の支援は喜んで受けるに違いない。

ちなみに、この論文執筆の中心らしいキー・B・パーク 博士はハーバード大学医学部教員で、国連WHOコンサ ルタント。18回北朝鮮を訪問した。したがってWHOや 朝鮮の当局者らといつでも通話でき、詳細な情報も入手できる立場にある。

 

加害者の罪を被害者に負わせる

 

 

この「天声人語」の下劣さのさらにもう一つは、朝鮮を困難に陥れている加害犯人を免罪し、その責任を被害者である朝鮮当局になすりつけているところにある。

アメリカは朝鮮戦争停戦から約70年にもなる今日に至るまで、極東のこの小国との平和協定締結を拒み、戦時状態を維持しつづけている。停戦は朝米双方が引き金に指をかけたまま、にらみ合っている状態。国際法上、 戦争継続状態なのだ。南北が和解しようと共同声明まで出しても、その実行をアメリカはことごとく妨害、阻止してきた。

そして毎年、米韓合同軍事演習をし、あの狭い朝鮮半島の周辺に戦略爆撃機、空母打撃群などの核資産を集結させている。「先制攻撃」「斬首作戦」「北朝鮮全土占領作戦」がその内容だ。アメリカが核先制攻撃を政策として 公布しているのは、天下周知の事実ではないか。そのうえさらに「史上最強の制裁」だ。

民族の存亡をかけた必死の自衛努力を「天声人語」は「革ジャンにサングラスでミサイルを仕切ったり」と揶揄する。世界はアメリカに従うべきで、ましてや朝鮮人ごときが逆らうとはけしからんという奴隷的固定観念が、 この筆者の頭にはこびりついているらしい。

加害者はアメリカであり、被害者は朝鮮民族なのだ。アメリカの犯罪には見て見ぬふりをし、「人口の4割が栄養不足」と、責任を朝鮮当局に転嫁する。逆ねじくわせて被害者を加害者に仕立てるその手口は、市井の無頼漢と選ぶところがない。

 

朝鮮人民にたいする侮辱

 

アメリカと正面対決して朝鮮は一歩も退かない。彼らは勝利を確信しているから、困難の中でも楽天的である。 最高指導者の周りに一心団結し、自力更生で社会主義経済強国へと着実に前進している。ほかの国ならとっくに滅んでいただろう。

こういう朝鮮人のプライドを、この「天声人語」の筆者などは到底理解できまい。スズメが大鵬の志など決して理解できるわけがない。

この「天声人語」筆者は朝鮮の最高指導者を嘲弄するような書きぶりだが、これは朝鮮人民全体にたいする侮辱である。無礼千万だ。朝日新聞はいつから、初歩的な国際的礼節もわきまえぬごろつき新聞に成り下がったのか。

私は、2022年5月17日付朝日新聞「天声人語」欄の筆者の誹謗中傷に抗議するとともに、こういう無責任で下品な文章を載せた朝日新聞編集局の責任を問うものである。

2022年5月29日

李東埼(リ・トンギ)東京都江東区大島5丁目22-1-501