チュチェ112(2023)年 11月 4日 朝鮮中央通信

 

米国が直面した現対外的危機は行政府の
失敗した対内外政策の反映である

 

【平壌11月4日発朝鮮中央通信】国際問題評論家の金明哲氏が発表した文「米国が直面した現対外的危機は行政府の失敗した対内外政策の反映である」の全文は次の通り。

先日、ホワイトハウスの国家安保補佐官ジェイク・サリバンがバイデン行政府の政策的「成果」を冗漫に列挙した寄稿文をメディアに公開した。

現米行政府の執権後、混乱した米国内の政局が正され、国際舞台での米国の影響力が回復され始めたと羅列した寄稿文は、誰が見ても自分らの対内外政策が「成功的」であるということを浮き彫りにしようとすることに目的を置いたということがよく分かる。

しかし、米国の対内外政策の実態と結果についてある程度知る人なら現米行政府の官吏らを除いては誰もこのような主張に共感しないであろう。

実際上、現米行政府が政権を執ってから3年になってくるが、米国内の政治的・経済的混乱は極に達しており、米国の反動的な対外政策による否定的影響はその尺度を予測できない程度である。

何よりも、サリバンがバイデンの最大の功績に挙げた米国内の経済状況は日を追って暗たんとしている。

今年に入ってだけでも、シリコン・バレー銀行とファースト・リパブリック銀行のような銀行大手が続々と倒産し、先日には米国の自動車生産部門の労組がゼネラル・モーターズ社をはじめとする三つの巨大自動車企業を対象にしてストライキを起こした。

このような中で8月1日、国際信用評価機関であるピッチが国家債務問題に関連して米国の信用等級を12年ぶりに初めて最低水準と評価しながら国内経済沈滞可能性まで示唆すると、ホワイトハウスと財務長官が世論鎮めに乗り出さなければならない悲喜劇が演出された。

最近、米国で行われた世論調査で応答者の50%以上が自国経済がもっと難しくなったと言いながらバイデン行政府の経済政策を辛辣(しんらつ)に批判している中、インフレ率の増加と価格上昇、国家的対応欠如は米国経済の風土病となっている。

次に、米国の軍事力を後押しすることのできる産業的基礎の脆弱性も余地もなくさらけ出されている。

最近、米国経済の持続的な悪化によって議会は国防総省が求める国防予算を縮小したり延期しており、これによって米軍部の武装装備開発と軍需品生産計画は少なからぬ難関に逢着している。

米国の軍事専門家らも、国防予算がインフレ率の増加速度に追いつけずにいると言いながら、米国の軍需品生産能力が減少していることに対する憂慮感を隠せずにいる。

米国防総省が発表した報告書によっても、米国内の弾薬生産インフラの寿命は普通80年以上なったものであり、大部分の生産は第2次世界大戦時期の建物と生産施設で行われているという。

米国がウクライナに1400基以上の「スティンガー」携帯用対空ミサイルを提供した後、部品の不足によってミサイル生産が中止され、その結果、台湾をはじめとする海外への納入が遅延した事実は米国の劣悪な軍需産業の実態を見せる一面にすぎない。

米議会のある下院議員がウクライナ事態によって米国の現存兵器生産能力の制約が露呈され、供給網がどんなに脆弱で、不安定なのかが如実に証明されたと述べ、今の状況を1957年に旧ソ連が初の人工衛星「スプートニク1」号を発射した時に比喩したのは決して理由なきことではない。

これら全てのことは、現米行政府が力の優位を唱えて覇権的地位を固守しようとする目的の下に強行した同盟国への無分別な武器支援策動がもたらした当然な帰結である。

より重要なのは、現米行政府が自画自賛する反動的な同盟政策が米国そのものを戦略的窮地に追い込む基本因子に作用しているということである。

米国の国庫をはたいているウクライナ事態は、現米行政府の無分別な同盟関係強化策動が招いた必然的所産である。

NATOの無謀な東進政策によってウクライナ事態勃発(ぼっぱつ)という特別な功労を立てた米国は、同盟国支援の名目の下、天文学的金額の資金を蕩尽しているが、それはざるに水というような愚かな選択であった。

米国が約466億ドル分の軍事的支援をつぎ込んだにもかかわらず、ウクライナ軍の反攻は宣伝用にとどまってしまい、米国は同盟強化を唱えて陥った泥沼の中から抜け出られなくなった。

このような中で「中東和平」の美名の下にイスラエル一辺倒政策を追求してイランをはじめとする反米自主的な諸国を狙った地域内同盟をつくり上げようとした米国の中東政策は武装衝突を引き起こして、ウクライナ事態で苦しんでいる自分らの境遇をさらなる苦境に追い込んだ。

今回にサリバンが現米行政府の特出した功績におだてた米・日・かいらい3角軍事同盟強化策動も、朝鮮半島情勢を統制不能の状態に追い込みかねない潜在的要素となる。

国際社会が、ウクライナ、中東事態に続いて朝鮮半島情勢が悪化する場合、米国が解消しがたい戦略的負担を抱えることになるかも知れないと予測しているのは一理あるものである。

米国と同盟国の関係も相容れない矛盾を抱えていつになるか分からない爆発点へと向かっている。

アフガニスタンでの突然の米軍撤退、フランスの背に刃物を刺した「AUKUS(オーカス)」のつくり上げ、「インフレ削減法」の採択による欧州とかいらいの不安感の増大など、バイデン行政府が同盟国の利益をき損させた実例は実にあまたある。

現実が示しているように米国の地位は回復されるのではなく浸食されており、米国の国力は強まるのではなく、衰えている。

これがまさに米国の現状である。

このような現実にわざと顔を背けたせいでサリバンは、寄稿文でバイデン行政府の努力によって中東地域がより安定したと自賛してからわずか5日目に大規模の武装衝突事態が起こったので、言論の袋叩きに合って国際社会の嘲笑の種となってしまった。

米国の地位は、ある一個人の見解によって規定されるのではなく、世界の民心によって評価される。

国際社会は、内外から滅びていく悪の帝国を歴々と見ており、サリバンの寄稿文を通じてそれをさらに確信するようになった。

このような米国がいわゆる「指導力」についてうんぬんするほど、それは恐ろしい「破壊力」となって世界をさらなる混乱の中に追い込むことになるであろう。---