チュチェ113(2024)年 4月 12日 朝鮮中央通信
アジア太平洋地域の戦略的不安定を高調させる
【平壌4月12日発朝鮮中央通信】国際安保問題専門家のチョン・ミン氏が12日に発表した文「アジア太平洋地域の戦略的不安定を高調させる米国の中距離ミサイル配備企図」の全文は、次の通り。 全地球的な軍事的制覇の実現に没頭している米国が、アジア太平洋地域で新しい軍事的賭博をしようとしている。 先日、米太平洋陸軍司令官は、中国軍が軍事的手段の使用において無責任な道を歩んでいるとし、米軍が対中国抑制のために今年末にアジア太平洋地域に新しい中距離ミサイルを展開することを計画していると言い立てた。 アジア太平洋地域に時を構わず戦略資産を送り込んで情勢を持続的に激化させ、恒常的な戦争熱を鼓吹することにも満足せず、地域の特定国家を直接照準して任意の瞬間に迅速に打撃できる地上発射型中距離ミサイルまで配備しようと画策するのは、米国の軍事的覇権野望がどの域に達しているのかを直観的に見せている。 米国が全地球的範囲で任意の国に致命的な打撃を加えられる数多くの戦略手段を保有、配備したことにもかかわらず、アジア太平洋地域にあえて中距離ミサイルを別に配備しようと画策しているのは、戦術および作戦級打撃手段を追加的に補強し、地理的に前進配備して中国に対する軍事的圧迫の効率性を高めてみようとする戦略的企図から発したものである。 アジア太平洋地域に中距離ミサイルを前進配備すれば、中国の海洋進出を抑止し、中国内陸に対する恒常的で迅速な打撃能力を確保することができるというのがまさに、米国の胸算用である。 2019年8月、露米間の中距離核戦力(INF)全廃条約から一方的に脱退するや否や、中距離ミサイルの開発および近代化に取り掛かった米国は、2022年末に至って中距離ミサイルシステムの開発を終えた。 その代表的な兵器システムがまさに、米国のロッキード・マーチン社が製作して米軍部に移管した地上発射型の中距離ミサイル発射システム「タイフォン」(Typhon)である。 専門家によると、「タイフォン」発射システムでは、現存の「トマホーク」型長距離巡航ミサイルとSM6型多目的誘導ミサイルを発射できるという。 のみならず、米国は陸軍長距離極超音速兵器(LRHW)、空中発射型迅速反応兵器AGM183と極超音速攻撃巡航ミサイル(HACM)を含むさまざまな形態の極超音速兵器の開発に執着しながら、中長距離ミサイル兵力の近代化を急いでいる。 諸般の事実は、アジア太平洋地域に対する米国の中距離ミサイル配備策動が誰それの「脅威」に備えるための防備策ではなく、以前から順次的に、計画的に着実に推進されてきた攻撃的で覇権的な軍事戦略の所産であることを実証している。 米国の中距離ミサイル配備策動は、その企図だけでもアジア太平洋地域の政治・軍事情勢を爆発的に悪化させ、中国をはじめとする地域諸国の強力な反発と対応措置を誘発し、地域内で熾烈な軍備競争を招く上で十分に危険なものである。 米国がアジア太平洋地域に対する中距離ミサイルの年内配備を夢見ているが、その過程は決してスムーズではないであろう。 米国が配備しようとする中距離ミサイルの射程を見ても、グアムやハワイのような米国領土に配備するのは軍事的意味が別になく、必ずしも日本とかいらい韓国をはじめとする地域内の同盟国に配備せざるを得なくしている。 中国の平和的な発展と成長を抑制し、軍事的に牽制しようとする米国の武力増強策動は必ず、強力な対応措置を誘発するようになっており、日本であれ、かいらい韓国であれ、あるいはその他の第3国であれ、自分の領土に米国の中距離ミサイルが配備される場合、初めの軍事的報復打撃目標になるということについてよく知っているであろう。 結局、アジア太平洋地域に対する中距離ミサイル配備は、米国の配下の同盟国を保護してやるのではなく、それとは反対に、米国の覇権戦略のいけにえ、犠牲になる運命を甘受するようにさせることである。 米国が中距離ミサイル配備という「掛け金」を持ってアジア太平洋地域で行う新しい軍事的賭博は、自国本土の安全さえも抵当に入れなければならない悪夢のような結果につながるかもしれない。--- |