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寄稿 先軍政治 ―アフリカにおける反帝反植民地主義闘争の新戦略―
ローランド・ベレ・ムケレンゲ
コンゴ民主共和国キンシャサ大学助教授
アフリカにおける反帝反植民地主義闘争の新戦略について探求することは、 特に新しいことでも、 また特別なことでもない。 しかしながら、 それは疑いなく最も重要で優先的な問題である。
それは困難を覚悟し粘り強く努力し、 必ず解決しなければならず、 また解決しうる課題である。 それは人間による人間の支配がいつも抑圧的なものであり、 あまりにもその度を極め、 到底黙認できないものだからである。
わたしたちは今まさに自主性の時代に生きている。
それゆえわたしはこの論文の第一体系でまず、 帝国主義について、 そしてアフリカにおけるその様々な戦略について分析し、 次の体系で帝国主義による災禍を取り除くための今日的闘争の方向と方途を研究してみた。
1. アフリカにおける帝国主義
(1) 帝国主義の本性
帝国主義についてはいろいろな角度で考察できるが、 その本質をなす共通の点は、 世界制覇の野望と貪欲な資本の追求、 富益富、 貧益貧現象の深化、 人民大衆の自主性にたいする蹂躙などである。
帝国主義は他の国と民族を支配しようとする貪欲な要求に基づく思想および政治的管理体系として登場した。
帝国主義は限局されたある部分にあらわれるだけでなく様々な様相を呈しながらあらゆる分野に、 具体的にあらわれる思想である。 支配主義は帝国主義の固有の思想である。 これは明白な事実である。
欧米帝国主義は、 どのような形態であれ、 一つの本質と多数の戦略および名称を持っているが、 現在最も強大なものは、 アメリカ帝国主義である。 後でも触れるが、 アフリカにおける新植民地主義は、 常にアメリカ帝国主義の産物であった。
(2) アフリカにおける帝国主義の手法と戦略
アフリカの政治史は、 植民地化、 脱植民地化、 民主主義の三段階に区分される。
植民地化が隷属と原始性からアフリカを解放したとも言われるが、 植民地化によってアフリカ人固有の文化やアイデンティティーおよび尊厳が奪われたことも事実である。 脱植民地化は、 その理論はアフリカ諸国に政治的独立への道を拓く役割を果たしたが、 入植者らの背信行為によって、 結果的には彼らを食人的独裁体制に従属させることになった。 アフリカで行なわれた幾多の民主化は、 脱植民地化によって生じた独裁体制からアフリカ人民を解放したかもしれないが、 アフリカ大陸の社会的経済的発展は未解決のままである。
今日、 帝国主義は経済援助、 負債免除、 人権、 民主化、 核不拡散、 反テロ闘争といった数々の美名のもとにアフリカへの侵略を行なっている。 20世紀に欧米の覇権的策略家らは、 アフリカを政治的に支配することの無益さを実際に認め、 彼らに政治的独立を与える代わりに、 実質的には経済政策によって全面的かつ根本的に彼らを支配下に置こうと考えた。 こうして、 アフリカの諸国家で達成された革命によって生じた民族解放の波は、 帝国主義の侵略戦争によって消滅し、 その膨張主義に沿って彼らは国防システムをコントロールするだけに止まらず、 改革の方法とリズム、 ひいては政治機構の管理者まで押し付けるに至った。 このように、 経済発展の標的として、 また軍事的には弱小な新植民地主義下のアフリカは、 帝国主義の格好の餌食となり、 実質的に、 そして体系的にその自主性を奪われていったといえる。 では、 どうすればよいのか。
2. アフリカにおける反帝国主義闘争
第二次世界大戦中、 ヒトラーによるアーリア人種の優越性を標榜したイデオロギーによってもたらされた悲劇を論ずるまでもないが、 支配主義によって突き動かされる民族は危険である。 支配主義は、 アングロサクソンの優越性を内に秘めたイデオロギーである。 つまり、 世界の他民族を 「文明化」 し、 「指導」 する使命をもつと信じるものである。 わたしたちはこのイデオロギーに、 民衆を中心に据える思想を対置させなければならない。 すなわち、 チュチェ思想である。
1930年代、 キムイルソン 主席によって創始されたチュチェ思想は、 朝鮮革命の現実が新たに提起した諸問題に独創的な解答を与えた。 キムイルソン 主席は、 他人の同意や指導によって革命を行なうのではなく、 自己の責任と信念に基づいて、 革命をやり遂げなければならないという真理を発見した。 なぜなら、 人間は自主性、 創造性、 意識性をもった社会的存在だからである。
キムイルソン 主席の思想的継承者であるキムジョンイル 総書記は、 今日の国際情勢と世界革命の実状を正確に分析し、 国の安全と発展を保障する新しい政策を開始した。 すなわち先軍政治である。
(1) 「先軍」 とアフリカ
脅迫や軍事力によって紛争の解決を図ろうとする動きが活発化している今日、 それに見合った対抗手段をもつことが必要である。
キムジョンイル 総書記は、 流血を防ぎ、 戦わずして勝利することができるとわたしたちに教えている。 その方法は全国民的自衛である。 これこそ侵略性をその本性とする帝国主義との闘いにおいて、 必要不可欠の手段である。
チュチェ思想は教えている。 「自衛は全ての国にとって政治的および経済的独立を支える軍事的保障である。 これを維持することによって帝国主義の侵略と干渉を打破し、 政治的経済的独立を達成し、 また自国の安全と革命の成果を守ることができる」
国防力の強化は一国の自主性のシンボルであるだけでなく、 今日、 自主を目指すアフリカの努力と飛躍を封じ込め、 数々の巧妙な策を弄する 「列強」 との闘争において、 人民大衆の解放を勝ち取るための試金石である。
「先軍」 の意味は文字どおり、 一国の解放と建設の過程で軍事および軍隊を優先的に強化するということである。(全文を見る)