そこが知りたいQ&A-朝鮮で大きな水害があったが?

  復旧に全力、9月末めどに

 既報のように、8月7日から14日まで朝鮮各地に降り続いた豪雨によって甚大な人的、物的被害が報告されている。未曾有の被害に直面した各被災地では、復旧活動が本格的に始まった。現在まで明らかにされた被害の規模や復旧活動の現状、今後の見通しなどについてQ&Aでまとめた。Kunmul03

                                                                                                                                              豪雨による洪水で壊された江原道淮陽郡の家
                                                                                               屋。屋根には数匹のイヌが避難している。 [朝
                                                                                               鮮中央通信=朝鮮通信]

 Q 近年としては最大規模の雨が降ったというが。

  A この間、全国150あまりの市、郡に500~800ミリ以上の豪雨が降り注いだ。朝鮮中央通信の報道によると、7日から14日までの降雨量は平壌市で580ミリ、平安南道・北倉郡796ミリ、徳川市760ミリ、平城市766ミリ、陽徳郡570ミリ、黄海北道・新坪郡592ミリ、瑞興郡769ミリなど、軒並み高い数値を記録。被害が最もひどかった江原道では平康郡で662ミリ、伊川郡で840ミリを観測した。

 今回の大雨は、短期間に全国的範囲で降ったのが特徴。多いところでは年間降水量の70~80%に当たる量が集中した。

 洪水被害対策委員会中央常務の責任者チョ・ヨンナムさんによると、「今回、気象観測史上最大規模の雨が降った」という。1990年代以降、朝鮮は何度も大きな洪水被害に見舞われた。昨年も水害があった。しかし今回は、過去10余年間に起こった災害と次元を異にする「類例のない被害」だという。洪水被害対策委員会では「被害規模を金額に換算して対比すれば、今年は昨年の10倍を超える」と見ている。

 なお、洪水被害によって、8月28日から30日まで予定されていた北南首脳対面が10月に延期、8月1日に開幕した大マスゲームと芸術公演「アリラン」も復旧作業が終わるまで一時中止になった。

 Q 現在までの被害状況は?

 A 被害の大きかった地域は平壌市と平安南道、黄海南・北道、江原道、咸鏡南道など。中央統計局の集計結果を引用した8月25日発朝鮮中央通信の報道によると、「死者および行方不明者600余人、負傷者数千人、90余万人が罹災」というおびただしい人命被害が伝えられている。OCHA(国連人道問題調整事務所)は朝鮮政府や国際機関、人道支援団体などから提供された資料を元に、「死者454人、行方不明者156人、負傷者4351人」と発表した(8月25日付報告書)。

 また、24万余世帯の住宅が被害を受け(全壊4万463棟、半壊6万7056棟、浸水13万3732棟)、10余万人が家を失った。公共施設と学校8000余棟と病院、託児所数千棟が全半壊して運営できなくなった。

 被害の規模は被災地住民の証言からもうかがい知ることができる。記録的豪雨に見舞われた江原道・伊川郡の住民は当時の様子について、「巨大な水柱が立っているようだった」と本紙平壌支局記者に語っている。郡人民委員会のシン・ヒョンチャン委員長も、「郡内の数十の村落が跡形もなく水に流された」と話した。

 今後現地調査が進むにつれて、被害の規模はより大きくなる可能性もある。

 Q 経済部門に対する影響が心配されている。

 A 1000余棟、20万余㎡に達する国の主要な生産施設が全半壊、浸水し、20余万ヘクタールの耕地が流失、水没、冠水するなど、悲惨な被害状況が伝えられている。とくに、農業、電力、採掘、鉄道運輸部門の被害が大きい。

 Q 復旧活動の進ちょく状況は?

 A 現在、内閣副総理を責任者とする洪水被害対策委員会の統一的な指揮の下に被災各地で復旧活動が行われている。被害状況の把握に基づいて洪水被害対策委員会が復興計画を立案し、食糧、医薬品などの救援物資や復旧に必要な建設資材の供給といった対策を講じている。

 被害地域の住民生活の安定が最も緊要な問題だ。家を失った罹災民のために新たに住宅を建設するとともに、水道や電気、通信、道路、鉄道などインフラの復旧に力を注いでいる。被災地では官、軍、民が一丸となって、倒壊した建物の残骸や土砂の撤去作業をはじめとする復旧活動に取り組んでいる。

 一方で復旧には困難も少なくない。被害が一部の地域に限定されず全国に広がったため他地域の支援も期待できず、罹災者自身が被害を克服していかなければならないという状況だ。また、洪水で多くの農耕地が流失したため、今後被災地で長期的な食糧不足が起こる可能性も指摘されている。

 洪水被害対策委員会は「9月末までに基本的な復旧を終えたい」としている。10月に入れば一気に冷え込むため、それまでに住民に必要な生活条件を保障しなければならないとの見通しからだ。

 Q 南側や国際社会からの支援も本格化している。

 A 南では、被害が報じられた直後から市民団体や人道支援団体を中心に復旧支援を呼びかける声が高まった。現在も救援物資や復興建設用の資材などが続々と北側に届けられている。当局も大規模な支援計画を発表した。

 一方、国連をはじめ国際機関による援助のほかにも、中国やロシア、米国などの国々が支援を表明している。今後内外の支援活動はいっそう盛り上がることが予想される。

 在外同胞の募金活動も盛んだ。総連中央でも全組織をあげて水害復旧支援のための同胞募金運動を展開することを提起、各支部、本部で募金活動(一口1000円)を広く行うことを呼びかけている。(李相英記者)

[朝鮮新報 2007.9.3]

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