“外勢盲従やめて民族自主を” -南北関係破綻 南側が一貫して合意ふみにじる-
チュチェ109(2020)年 7月 18日 ウェブ・ウリトンポ
李 東 埼
南北共同連絡事務所爆破と南北間のすべての通信連絡線の遮断、廃棄。北側は対南事業を対敵事業に転換、南側との対話は打ち切ると表明した。
朝鮮半島問題をほとんど伝えず、伝えてもまともでない日本のメディアにしか接していない人々にとっては、6月初以来の展開は降ってわいたような驚きであったろう。だが、朝鮮のメディアを日ごろから追ってきた者にとっては、来るべきものが来た、という思いである。
北側はなぜ怒ったのか
いったい、何がこうまで北側を怒らせたのか。2018年4月の板門店宣言をはじめ平壌共同宣言、軍事分野合意書、これらの南北合意をこの2年間、文在寅政権は無視し不履行、じゅうりんしてきたからである。これは、米国の対北圧迫政策への同調にほかならない。
南北合意で実行することになっていた金剛山観光と開城工業地区の再開、南北間の鉄道と道路の連結はいまだに実現されていない。南側がいちいち海の向こうの政府にお伺いを立てているからだ。彼らは、国連と米国の制裁が解除されないかぎり何もできないという。南北間の軍事通信連絡線の連結、南北共同連絡事務所への小型発電機持ち込み、こんな些細なことさえ米政府の許しを得なくてはならないという。
金正恩国務委員長は、何の前提条件や代価もなく金剛山観光と開城工団事業を再開しようと提案した(金剛山と開城は北側地域にある)。これらは南朝鮮当局の独自制裁によって閉鎖されたもので、南側の決心一つでできることである。ところが南朝鮮当局はわざわざ米政府にお伺いを立てて、結局ダメにした。
この2年間、南朝鮮当局はなにひとつ合意事項を実現しなかった。南北合意書に「民族自主」をうたっておきながら、米国に盲従する。これは民族の上に外勢を置き、南北関係の上に「韓米同盟」を置く事大主義根性の表れである。
対話の裏で敵対行為
板門店宣言をはじめとする合意書は、朝鮮半島の緊張を高める「拡声器放送、ビラ散布をはじめ」一切の敵対行為の中止を強調している。にも拘わらず南側は昨年10回、今年に入って3回、巨大な風船による北側地域へのビラ散布を黙認した。李明博、朴槿恵の保守政権でさえ計11回ビラ散布を阻止したのに、文政権が阻止したのはたった1回。意図的な黙認と見るほかない。
それだけでなく対北攻撃の韓米合同軍事訓練を、南朝鮮当局はなおもつづけている。対北浸透作戦、要人拉致暗殺の斬首作戦、北半部占領後の安定化作戦などという悪質な訓練が、これらにはふくまれている。
現政権は史上最大の今年度軍事予算を組んだ。約50兆ウォン。李明博、朴槿恵の保守政権では軍事予算を10兆ウォン増やすのにそれぞれ6年かかった。現政権は3年で10兆ウォンを増額した。ステルス戦闘機など対北攻撃用の最新兵器を大量に導入している。
北側の忍耐と忠告無視
昨年4月、金正恩国務委員長は最高人民会議で施政演説をおこない、つぎのように述べた。
「中断することになった合同軍事演習まで強行し、隠ぺいされた敵対行為に執拗にしがみつく南朝鮮好戦勢力の無分別な策動を放置して(中略)北南関係の進展や平和繁栄のいかなる実りも期待できないことを、手遅れにならないうちに覚る必要があります」
軍部をはじめ政権内の好戦派を抑え、民族の前に誓った合意を誠実に履行する正道に立てという忠告であった。このような勧告、忠告、警告はこの2年間、北のメディアをつうじて無数に伝えられた。それらを無視して南朝鮮当局は、ついに朝鮮の最高尊厳を冒涜するビラまきまで黙認するに至った。これを契機に、2年間こらえてきた現政権不信のマグマは、ついに爆発したのである。(記事全文)