高校無償化:고교무상화 / 東京朝鮮高校生「高校無償化」国賠訴訟弁護団による声明
東京朝鮮高校生「高校無償化」
国賠訴訟弁護団による声明
東京朝鮮高校生「高校無償化」国賠訴訟弁護団声明
本日、東京地方裁判所民事第28部は、東京朝鮮中高級学校の高級部に在籍していた生徒62名(現在は卒業生)が就学支援金不支給を理由として提起した国家賠償請求訴訟(以下「本訴訟」といいます。)について、判決(以下、「本判決」といいます。)を言い渡しました。裁判所は、訴訟における被告国側の主張を丸呑みし、原告側の請求を棄却しました。
本判決は、以下に述べるとおり、重大な誤りを多数含んでいます。
第一に、本判決は、本訴訟の重要な争点について判断を回避しています。すなわち、本判決は、「規定ハの削除が無償化法による委任の趣旨を逸脱したものであり無効であるから、規定ハの削除による不指定処分は違法である」との原告の主張について判断を回避しています。しかし、審理の過程で明らかになった文科省の決裁文書には「規則1条1項2号ハの規定の削除に伴う朝鮮高級学校の不指定について」と明記されており、本件不指定処分は、規定ハが削除されたことに基づくものであることは明らかであり、規定ハの削除の違法性について判断を回避した本判決は明らかに不当です。
次に、本判決は、不指定処分の理由について明白な事実誤認を犯しています。下村文部科学大臣(当時)が閣僚懇談会等で明言したとおり、朝鮮学校に対する不指定は、「拉致問題に進展がないこと」等によって決められたものであり、これが政治的外交的配慮であることは明らかです。しかし、本判決は、本件不指定処分が政治的外交的理由によって決定されたものであることを認めませんでした。これは不指定処分の理由という最も重要な点について、明白な事実誤認を犯したものといわざるをえません。
最後に、本判決は、文科大臣が東京朝鮮学園を不指定とするにあたって同学園が規程13条に適合しない理由について個別的かつ具体的な事実を指摘して不指定とすることを要求せず、各地の朝鮮高級学校について抽象的に言われたことや、他の朝鮮学校についての過去の裁判所の判断等によって、「東京朝鮮学園について規程13条に適合すると認めるに足りない」との文科大臣の認定を合理的なものであると認定しました。これは、文科大臣にほとんど無制限の裁量を認めたものであり、行政法の解釈として明白に誤っています。
以上素描した限りにおいても、本判決は、結論においても論理においても明らかに誤った不当極まりないものです。
政府による誤った判断による差別を解消し、すべての意志ある高校生等が安心して勉学に打ち込める社会を司法によって実現するという本訴訟の目的を達成するため、原告らは控訴し、引き続き差別の解消を強く求めていきます。私たち弁護団は、全国の朝鮮高校生らに対して差別なく就学支援金が支給される日まで、さらに努力を続ける所存です。
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