排他的な同盟の拡張は米国の戦略的敗北を加速させるだけだ

チュチェ113(2024)年 9月 14日 朝鮮中央通信>

 

【平壌9月14日発朝鮮中央通信】国際問題評論家である金明哲氏の「排他的な同盟拡張は米国の戦略的敗北を加速させるだけだ」と題する文の全文は、次の通り。

米国が、英国、オーストラリアと排他的な核安保技術同盟システムである「AUKUS(オーカス)」を作り上げたときから3年の歳月が流れた。

この3年間は、核不拡散体制に対する重大脅威、軍備競争の推進者、地域の戦略的バランスの破壊者としての「AUKUS」の正体を明白に立証した期間である。

米国が、「AUKUS」はいかなる特定国家を狙ったものではなく、核不拡散体制にいかなる影響も及ぼさないと強弁を張っているが、それは自分らの排他的な同盟強化政策を庇護するための美辞麗句にすぎない。

こんにち、世界の平和と安定を願う人類の念願に全面背馳する冷戦式考え方と陣営対決に執着する米国の対決的行為のため、朝鮮半島とアジア太平洋地域はより不安定な状況に深く陥っている。

 

同盟国の背中をナイフで刺した米国

 

2021年9月15日に作り上げられた「AUKUS」に関連してフランス外相は、これは単に自国とオーストラリアの間で進めてきた潜水艦契約の破棄に関する問題ではなく、同盟国の背中をナイフで刺す行為だと強く非難した。

「米国は帰ってきた」と唱えて「同盟重視と同盟強化」について宣伝していたバイデン行政府が突然、欧州の同盟国を裏切った事実は、今日まで国際社会の大きな衝撃と疑問を醸し出している。

しかし、米国の前哨基地に変貌しているオーストラリアの姿と自分の垣根を広めている「AUKUS」の動きは、米国がフランスの背中になぜナイフを刺したかに対する解答を与えている。

何よりも、米国は原子力潜水艦技術移転を通じてオーストラリアをアジア太平洋地域の自主的な主権国家を牽制する強力な軍事同盟国に変身させている。

米国は、英国と共に2055年までにオーストラリアに8隻の原子力潜水艦で構成された艦隊を保有させるための事業を主導する一方、2022年から3者間の先端軍事技術協力を極超音速兵器の開発へ拡大し、軍事技術および兵器輸出制限措置を緩和し、自分らの核戦略資産と先端武装装備運用のための施設をオーストラリアに大々的に建設している。

のみならず、オーストラリアに「トマホーク」巡航ミサイル、艦対空迎撃ミサイル、攻撃用ヘリのような武装装備を系統的に手渡す一方、オーストラリアのミサイル製作と輸出まで支援している。

次に、米国は「AUKUS」をより多くの同盟国が参与する多国籍軍事同盟に進化させようとしている。

現在、米行政府の関係者らは機会あるたびに、パートナー国が適切であると判断するなら「AUKUS」への加盟のドアは開いていると重ねて主張している。

去る4月、米・英・豪3者国防当局者会談で「AUKUS」と日本の間に先端技術分野の協力推進方案を検討しているという内容の「共同声明」が発表されたのに続いて、ワシントンで行われた米・日首脳会談では人工知能(AI)とサイバーをはじめとする8つの核心国防技術分野で「AUKUS」と日本が互いに協力する問題が合意された。

また、米国は「AUKUS」がインド太平洋地域で韓国のような国と一層密接に協力するのが必要であるとし、韓国とニュージーランド、カナダなどの同盟国も「パートナー」の資格で「AUKUS」に引き込もうとしている。

諸般の事実は、追随勢力との同盟関係を核に基づいた多国籍軍事同盟に拡大させ、地域での戦略的優位を確保しようとする政略的打算が米国をして同盟国の背中にナイフを刺すようにしたことを示している。

 

国際社会の強い反発を呼び起こす「AUKUS」

 

「AUKUS」は、世界にその醜い実体を現すやいなや、引き続き多くの国の糾弾と排撃の対象になってきた。

ロシアは、「AUKUS」を「アジア版NATO」と規定し、米国とその同盟国が地域で長期的な対決を追求していると糾弾し、中国は「AUKUS」が米国の指揮棒に従って動く安保機構として地域の平和と安定を脅かし、軍備競争をもたらすと非難した。

一方、オーストラリアと隣接している東南アジア諸国は、オーストラリア政府が地域で米国の「警察の役」を演じているとし、諸大国が他国の利益を強権で侵害する行為を働いてはならないと主張した。

多くのメディアと安保専門家の中からも、「AUKUS」の作り上げは「核のパンドラの箱」を開けたこと同然であるとの懸念の声が高まっている。

地域諸国と専門家たちの主張は決して、根拠のないものではない。

オーストラリアに移転される原子力潜水艦の燃料である高濃縮ウランで160個の核弾頭を製造できるという事実は、「AUKUS」の活動がオーストラリアの核武装へつながる可能性が大きいということを示している。

また、米国がオーストラリアに原子力潜水艦とその技術を手渡すことで、日本、韓国をはじめとする地域同盟国の核武装化野望をよりあおり立てていることが現実として証明されている。

日本と韓国など、米国の追随国の中からは「『AUKUS』に対する加盟熱望」が日を追って高まっており、これは国際的な核不拡散体制が連鎖的に強打を受けかねないことを予告している。

第3国を狙った「AUKUS」の排他的で対決的な属性も、地域諸国の警戒心を一層増幅させている。

初期に、「AUKUS」が特定の国家を狙ったものではないと強弁を張っていた米国は近来、「AUKUS」の目標が地域内の自主的な主権国家であることを隠していない。

米行政府の高官らは、「AUKUS」が中国とロシア、朝鮮をインド太平洋地域に対する「脅威」と見なしていると言い、「AUKUS」を通じて主権国家を制圧しようとする腹黒い下心を一層露骨にさらけ出した。

米国が世界各地の同盟国を有機的に結合させるという「格子型垣根同盟」政策に執着する現実を見れば、「AUKUS」が米・日・韓3角軍事同盟と「スクワッド」「クアッド」のような米国主導の政治・軍事同盟と融合するのは時間の問題であり、これによって地域での新冷戦構図はより固着するであろう。

これは、国際社会がなぜ「AUKUS」に強い拒否感と警戒心を示しているのかに対する明白な理由である。

 

米国の戦略的敗北を加速させるワシントンの同盟拡張政策

 

現在の米行政府は「AUKUS」のような各種の同盟づくりと拡大を自分の「外交治績」と大げさに宣伝し、これが米国の戦略的価値と利益を増進させていると唱えている。

しかし、米国が直面した対外的危機状況に対する初歩的な認識を持っている人なら、上記の主張が極めて断面的であることが難なく分かるであろう。

今年1月、米誌「ナショナル・インタレスト」は、複数の地域問題に対する過度の干渉とそれによる地域国家との摩擦拡大によって米国が進退両難に陥っていると主張し、「米国は相変わらず世界の唯一超大国なのか?」という疑問を投げかけた。

実際に、全世界的範囲で強行されている米国の同盟拡張政策は米国の力をさらに消耗、弱化させており、米国自体をより危うい環境に露出させている。

まず、現在の米行政府が同盟維持および拡張のための軍備増強と海外軍事基地の運営に天文学的金額の資金を蕩尽し、イスラエルとウクライナをはじめとする親米国家に対する軍事的支援に熱を上げていることによって、米国の債務危機は日ごとに深刻になっている。

また、軍事的対決と民間人大量虐殺を働く同盟国に対する米国の破廉恥な庇護(ひご)は地域での米国の影響力減少へつながっており、国際的な反米機運を高調させる触媒剤となっている。

特に、全地球的な軍事同盟の創設で自主的な主権国家を包囲、抑止しようとする米国の陣営対決策動は、主権国家が自衛的力を全面的に固め、侵略的な軍事同盟を制圧、粉砕するための正義の戦略的軸が形成・強化されるように促している。

これは、米国が同盟拡張政策に執着すればするほど、抜き差しならぬ戦略的迷宮に陥るということを予告している。

陣営対決を追求する米国の姿は決して、「唯一超大国」の地位ではなく、凋落の運命を歩んでいた昔のローマ帝国の姿を連想させている。

正義の国際社会は無分別な覇権政策と同盟拡張で地域と世界の平和と安定を蹂躙(じゅうりん)する米国の対決的妄動を絶対に許さないであろうし、強い力で立ち向かっていくであろう。

ワシントンの排他的な同盟拡張は、米国の戦略的敗北をさらに加速させる決定的因子になるであろう。(記事全文)

 

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