【インタビュー】約10年ぶり訪朝のデヴィ・スカルノ氏 国力強化の勢いに驚き、原動力はリーダーシップ
2025年10月21日 朝鮮新報
【平壌発=金淑美】朝鮮労働党創建80周年に際して、9日から14日まで訪朝したデヴィ・スカルノ氏(85、一般財団法人アース・エイド・ソサエティ代表理事)が12日、平壌高麗ホテルで本紙平壌支局のインタビューに応じた。インドネシアのスカルノ元大統領夫人として、朝鮮と親交を深めてきたデヴィ氏。閲兵式をはじめとする今般の祝賀行事に参加した感想、約10年ぶりに見た朝鮮の発展の様相について語った。
【写真−1】インタビューに応じるデヴィ・スカルノ氏(12日、平壌高麗ホテル)
-今回の訪朝の目的、滞在中の日程についてお聞かせください。
朝鮮労働党80周年記念行事にお招きを受けて訪朝しました。また、国際金日成賞理事会および国際
金正日賞理事会の理事として、11日に行われた国際金日成賞第11回会議、国際金正日賞理事会第2回会議に参加しました。国際金正日賞理事会では、これから受賞者を選び、金正日総書記生誕85周年を迎える2027年に賞を授与します。
【写真−2】国際金日成賞第11回会議、国際金正日賞理事会第2回会議の参加者ら(朝鮮中央通信=朝鮮通信)
国際金日成賞および国際金正日賞は、世界の自主化や人類の平和など、政治・経済・文化的に最も国に尽くした人に与えられる賞です。
会議は、まず朝鮮社会科学者協会のキム・ウンジェ副委員長から説明があり、それに対して私たち理事が答える形で行われました。
【写真−3】11日に行われた国際金日成賞第11回会議、国際金正日賞理事会第2回会議(朝鮮中央通信=朝鮮通信)
-党創建80周年祝賀行事はいかがでしたか。
素晴らしいの一言に尽きます。 私と共に日本から来たメンバーもとても感激していました。もし共和国でオリンピックの開会式をするとしたら、世界中の人があっと驚くようなすごいものができると思います。
まず、共和国の国力の勢いを感じました。そして統率力です。音楽、レーザー光線、花火などもすばらしかったけど、十数万人の出演者が誰一人、間違えない。どれくらいの訓練をしたらあんなことができるのでしょう。あんなことができるのは共和国だけだと思います。
市民パレードの最中に全員が一斉に立ち上がるということが3回くらいありました。最初は皆さんがなぜ立ち上がったのかわからなかったのですが、金正恩国務委員長の写真が登場したんです。金委員長が、それぐらい人々から尊敬され、敬愛されているということがよくわかりました。
-朝鮮とは長い間、親交を深めてきました。久しぶりに朝鮮を訪れた感想は。
私は1965年の4月10日に、インドネシア・ジャカルタのムルデカ大統領官邸におけるレシプションで金日成主席と金正日総書記にお会いしました。
初めて訪朝したのは2002年だったと思います。その頃と比べると平壌の姿は様変わりしました。朝鮮の発展のスピードには毎回、驚きます。
平壌国際空港から市内に入るまで道路の両側がとてもきれいで、世界中いろんな国に行きましたが、こんな国はないと思います。街中に人があふれ、高層ビルがたくさん立ち並んでいます。しかも趣味がいい。東京の新宿や渋谷のような品のない看板やネオンサインがまったくありません。平壌にくると都という感じがします。それからゴミが一つも落ちていない。とにかく街がとてもきれいです。ずっとそのようにしてくれるといいなと思います。
金正恩委員長が金正日総書記の後を継いだ2012年から、たった十数年で国をこれだけ発展させたことに頭が下がります。ものすごい勢いで国力が上がっている。
原動力はやはり、かつては金日成主席と金正日総書記、そして今は金正恩委員長のリーダーシップだと思います。人々を力強く引っ張り、鼓舞しています。
それから人々が国のために一丸となって尽くす愛国心の強さです。朝鮮という国を偉大な国にしよう、そのために人民が一丸となって闘おうという意気込みがすごく感じられます。朝鮮は、治世がうまくいっているという感じがします。
日本を含め諸外国が、共和国の核・ミサイル開発を非難しますが、何かを成し遂げるためには、多少の犠牲を伴うことは致し方ないと思います。 例えば家族の中でも、一人を成功させるために他の家族が犠牲になることがあります。独裁主義者という言葉は悪い意味で捉えられますが、私は偉大なリーダーという言葉に置き換えればいいと思います。
【写真−4】最高人民会議常任委員会の崔竜海委員長が、国際金日成賞第11回会議、国際金正日賞理事会第2回会議の参加者らと面会した(朝鮮中央通信=朝鮮通信)
-朝鮮を取り巻く国際情勢もめまぐるしく変化しています。
パレスチナやウクライナの問題、インドネシアでも最近、暴動がありましたけど、世界中で力の争いが起こっています。国連は世界で何かが起こったときに、調停をして秩序を取り戻す大事な役割がありますが、その存在感がだんだん弱まっているのが残念です。
今は、非常に大変な時代になっていると思います。
また、どの国は核を持っていい、どの国は持ってはいけないというのは誰が決めたのでしょうか。核を持っていない国は襲われ、そして負けるという流れになっていることは怖いことだと思います。だから共和国は核を手放さなかったのだと思います。共和国は、あれだけ強固に米国から核を持ってはいけないと言われながらも持ち続けました。それは正しかったと思います。核を持っていなかったら、今頃、共和国の存在はどうなっていたかわかりません。
私は金正日総書記が亡くなったとき、とても心配しました。金正日総書記のご遺体が乗った車に手を置いて歩いていた金正恩委員長は、とても悲しそうなお顔をしていました。そのことが非常に印象に残っています。ですが、あの若さで米国とロシア、中国などの大国の首脳に対して、一歩も譲らず主張し、同等に話せる金正恩委員長は、たいへん立派だと思います。日本の政治家も見習うべきです。
-最後に日朝関係に対する見解をお聞かせください。
日朝間のこう着状態が続いているのは日本が悪いからです。小泉純一郎首相と金正日総書記、二つの国の元首が署名した日朝平壌宣言を、日本は勝手に反故にしました。そんなことをして国家間の関係がうまくいくはずがありません。ですからもう共和国は日本に目も向けません。共和国は日本を相手にする必要がないと思います。
拉致問題も、共和国は認めて謝罪したわけですから、そこで終わりなんです。拉致家族を政治利用するだけで、何もしていない日本政府に対しては怒りを覚えます。日本政府が拉致問題を政治利用するのは、共和国を飽くまで敵にしておきたい米国の司令です。米国は絶えず敵が必要ですから。それなのに日本政府は拉致問題で日本人の気持ちを掻き立てています。米国で大統領が変わるたびにホワイトハウスまで行って大統領と拉致家族を会わせたり、駐日米国大使が変わるたびに会わせたり、そういうことを何度もしています。
新しく首相になる高市早苗さんが日朝平壌宣言を守り、履行して、A級戦犯を靖国神社に合祀することをやめれば、共和国との関係はうまくいくと思います。
日本が日朝平壌宣言を守っていれば、日本と共和国の人たちが相互に往来し、民間交流が生まれたと思います。民間交流が深まれば、お互いのことや本当のことが少しずつわかって、理解が深まると思います。
